2009
12/14
12/14
映画製作ロケ奇談②「本物を引き出す言葉」
助監督がエキストラの皆の前に出て両手を広げ、
「新入生のざわめいた様子の音を僕に下さい!」
と一言。
皆は思い思いのざわめきの言葉を口にする。
すると…
助監督は両手を閉じて明るく一言。
「新入生はお互いはじめて会うんだよ?そこんとこ、頭においてもう一回やってみて。」
するとどうだろう。
その一言でさっきのざわめきのトーンが、小さくなり、ヒソヒソと話す声に変わった。
たった一言のアドバイスは助監督にとっては造作もないことかもしれない。
ただ、小さめの音が必要なら「小さい声にして」と言えばすむ。
けれど、お互いに知らない者同士であることを意識させ、本物により近い音を見事に引き出した。
私には彼の言葉が、
「本物を引き出す、匠な言葉」に聞こえた。
言葉は奥が深い。
貴方は、どんな時にも、貴方が伝えたいことを、どれだけの言葉で伝えることができるか。
想いをのせたやさしい言葉は、人と人を紡ぎ、やがて、輝く未来を描いてゆくだろう。

